わざと息吐く白い街
手遊び歌を職場で歌うことが増えた。
たとえば「とんとんとんとんひげじいさん〜」とか、「きらきら星」とか。そんな曲そういえばあったよなって思い返す。「おかあさんといっしょ」をよく見ていた気がするから尚更懐かしい。
こないだは子供たちと「幸せなら手をたたこう」を一緒に歌っていた。意外と歌詞も覚えているもの。
幸せなら態度で示そうよ
ほらみんなで手をたたこう
この歌詞が問題なのだ。
僕はどうしても3行目が気になって仕方がない。
子ども向けのハッピーな曲の雰囲気に紛れ込む違和感。
だって「態度で示そう」だよ。なんかこういうのって怒られたときに言われる言葉な気がする。「アサノ、態度で示せよ!」って言われるとなんか「すいませんでした」って言いたくなる。
ちなみに原文は
If you're happy and you know it, then your face will surely show it.
ということらしい。
僕の英検二級落ちた英語力からすると、「もしあなたが幸せなら、表情がそれを確かに示すだろう。」という直訳だろうか。
原文は態度ってよりかは表情みたいなニュアンス(表情も態度のうちって言われれば確かにそうかもしれん。)。しかも「示そうよ」と促しているのではなく「幸せって内から外へ滲み出てくるよね」みたいな現象の説明に終始している。
本当に不思議な訳だなって思う。
そういえば結構前にメンバーとBon Joviの有名曲の話をしていて。
Bon Joviで有名なのって「禁じられた愛」とかだよね、と話すVoタカシマ。
それを聞いて、何その曲って思ったんだよね。
Bon Joviは図書館でCDを借りたり、YouTubeで有名どころは押さえているつもりだった。でもそのタイトルを聞いてもどんな曲か全くピンとこない。
改めてApple Musicで調べて聴いてみると
”You give love a bad name"。
超有名曲。何がどうしてそうなった。
でもまぁ、邦題が全然変わることなんてよくあるし。百歩譲ってそれは納得できた。
ほら映画の「ワイルド・スピード」って原題は"The Fast and the Furious"でしょ?
邦題の方がなんかカッコいいじゃん。
でも納得できないことがあって。
Bon Joviの有名曲といえば、
"Livin'On A Prayer"
を思い浮かべる人も多いと思うんだけど。
まさかの「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」。まんま。嘘やん。サボった?
あと、"Runaway"っていう曲。イントロのシンセからカッコよくて仕方ない曲なんだけれどこの曲の邦題は「夜明けのランナウェイ」。
「夜明け」どこから引っ張ってきたんだ。
とまぁそういう表記というか、表現のバランスの悪さが時に気になってしまう。
他にはこないだ見た商店街の「X'mas 福引セール」の表記。
わざわざクリスマスを英語で、
そのうえ、”Christmas”じゃなくて、”X’mas”。
その後に「福引」とくると西洋の煌びやかな景色、サンタのソリがやってくるときの鈴の音が、「大当たり〜」の鈴の音に変わり規模が急に小さくなる感じがする。
とまぁここまでそんなバランスの話をしてきたが、そんなことが気になってしょうがない僕自身のバランス感覚みたいなものは全くないのである。
何かを話そうとするとタイミングが人と被ってしまったり、明らかに死んだ話題を無闇に掘り起こしてそのまま自分も一緒に死んでしまったり。人との距離の詰め方が苦手だったり、誰かと誰かを繋ぎ止めるいわゆるバランサーみたいな人間には絶対になれないと思う。
こないだ別の事業所で働いている同期が自分の職場にヘルプで来てくれたんだけれど、先輩とその同期の間に入って話するの難しすぎて心が折れかけた。
もぅマヂ無理。マリカしょ・・。
最近ライブハウスとかでも初対面のバンドマンにほとんど話しかけることができない。何なら鎖国状態。相手に関心を持ってもらえるようにしながら、自分も話していて多少楽しい話題のちょうどいいものが見当たらない。
一番タチが悪いのは、何かに特化しているわけでもないということ。そしてそれを自分自身がいちばんわかっているのにも関わらず何も工夫をしないこと。
益々崩れていくバランス。
何とかしないとと思うんだけれど結局思うだけで、そんなことをしているうちに街が煌めき出す、そんな季節になってしまった。
多分バランスが悪いものが目についてそれに心惹かれるのは、どうしようもないほどバランスが取れない自分を慰めてくれるような存在に、そういったものが見えているからなのかも知れない。
これを書いているのが、深夜2時。
手始めに睡眠と生活のバランスを整えたほうがよさそう。
ではまた。
ドラム アサノ